よいネクタイの選び方2
先程、ギルド・オブ・クラフツの山口千尋氏が講演する『ギルドによる靴の講座』へ行って来たダイスケです、こんにちは。
正しい靴の手入れをするだけで、ここまで革の表情が違ってくるという事にとても感心しました。
山口氏の話の中で印象的なのが、「靴は履いてこその靴であってシワもまた靴に表情を与えます。沢山履いて、丁寧にメンテナンスをするべき」(意訳)といった内容でした。
名靴世界ランキング(03'メンズEX)で1位、2位を独占する程の素敵な靴を仕立てることができるのに、芸術家としてではなく、やはり職人なんだなと感じました。畑は違えど、同じ職人である私も、日々精進して素敵な洋服を仕立てていきたいと思います。
それでは昨日に引き続き『よいネクタイの選び方』を書きたいと思います。
■『ネクタイの着こなしと流行』についての購入ポイントです。
『父の日』にネクタイをプレゼントをされる方も多いと思います。その一方で、もちろんネクタイをプレゼントされてうれしいが、「女性が選んだネクタイは絶対に締めない」と断言する、なんとも贅沢な殿方もいます。
確かにネクタイを締める人の琴線に触れるものが、そうザラにあるわけでもなく、いい加減に選ばれるぐらいなら・・・という気持ちもわからなくもないですが・・・やはり贅沢な悩みですね。
プレゼントとして貰って嬉しいが、なぜ締めるのを躊躇うのかと言えば、女性は普段ネクタイを締める機会がなく、多くの女性がネクタイを買う場合、それを手に取り、美しいネクタイを選び出そうとするからだと思います。
するとネクタイだけを見れば確かに美しいが、ワイシャツを着て、スーツを羽織った中に置くと、美しいネクタイだけが妙に目立ってしまう・・・といったケースが原因ではないでしょうか?
■ネクタイは『他の服装とのバランス』が何よりも大切で、そのバランスを考えた時、ネクタイをひとつの色の塊として眺めてみます。
ネクタイの色や柄、素材の組み合わせは無数にありますが、色の塊として見るなら、大きく3種類に分けることができます。
柄などを無視して、全体を大づかみに眺めた場合、『淡い色なのか(淡色)』、『濃い色なのか(濃色)』、『中間の濃度なのか(中色)』の3種類です。
そして、スーツも同様の方法で分類した時
・『淡色のスーツ×淡色のネクタイ』はメリハリがつかず、ぼやけた印象になり、合わせにくいです。
・逆に『淡色のスーツ×濃色のネクタイ』や、『濃色のスーツ×淡色のネクタイ』は、たとえ同系色や無地同士であっても、間の抜けた感じにならず、よく合います。
・また、『中色のスーツ×濃色のネクタイ』、『淡色のスーツに中色のネクタイ』なども、よほど柄や配色に失敗しな限りバランスのとれた組み合わせとなります。
そのポイントを抑えて購入するだけで、せっかくプレゼントしたネクタイが箪笥の肥やしとなる事が少なくなると思います。
■次に、普段ネクタイを締めているビジネスマンですらあまり留意しないが大切なポイントがあります。
それは『ネクタイの長さ』です。
ワイシャツを購入する為に自分の首回りと袖丈のサイズを知っている人はいると思いますが、ネクタイを購入する場合、柄や色に注意しますが、サイズについては案外無関心な人が多いと思います。
自分の所有しているネクタイの長さをすぐに答えられる人はそうそういないのではないでしょうか?
『ネクタイの長さ』に注目して購入する為には、まず『正しいネクタイの締め方』を知らなければなりません。
ネクタイの締め方にはシングルノット、ダブルノット、ハーフ・ウィンザーノットetc・・・色々な結び方がありますが、どの締め方にせよ、ネクタイの大剣の逆三角形が、ちょうどベルトの上にかぶさる長さにします。
これは、ジャケットを脱いだときのバランスを考慮した結果です。更に言えば、垂れた大剣と小剣の差を1cm以内に留める事ができれば理想的です。
上記の『正しいネクタイの締め方』を考えれば、おのずと自分の『理想的なネクタイの長さ』を決定することができます。
数字で表すとしたら、
『カラーの付け根からベルトすれすれまでの長さ』×2 + 『首回りの実寸』 + 『ノットを結ぶ為に必要な長さ』(シングルノットなら約11cm、ダブルノットなら約22cm) + 『ネクタイの素材や締める強弱による若干の余裕』 1cm
といった計算式になります。
現在、日本で売られているネクタイの多くが138cm〜142cmと言われています。
海外のブランドのネクタイだと146cm前後が多いのではないでしょうか?
上記の計算式を厳密にしないにしても、ネクタイを購入する際には、平均身長よりも低ければ140cmあたりで、高ければ海外のネクタイを選ぶといった目安になると思います。
■最後に、私自身はまだまだ若輩者で、ブランドのネクタイを粋に着こなす程の人生経験が足らないので、将来身に付けてみたいと思うネクタイのブランドを紹介します。
・Dominique France(ドミニク・フランス)
『ネクタイのなかのネクタイ』と呼ばれる程、フランスでもっとも贅沢なネクタイの1つ。
リヨンで織らせた目の詰んだヘビーシルクを使い、入念な縫製で仕上げたネクタイは締め心地がよく、ほどよい重さを感じさせます。
この重さがネクタイを安定させ、『朝締めたら夜まで締め直す必要がない』といわしめています。
・Hermes(エルメス)
エルメスを象徴するものとして革製品が挙げられますが、その他にも上質なシルクのスカーフも定評があります。
『エレガンスの代名詞』といわれるエルメスならではのネクタイは、洗練された色、柄、独特のシルクの感触だけではなく、芯地や断ち方、折り目も計算に入れた贅沢な生地どりによるソフトな締め具合にも定評があります。
・Richard Atkinson(リチャード・アトキンソン)
レジメンタル・ストライプのネクタイを2世紀にもわたって作り続けているネクタイ専門の会社。
創業以来変わらない『アイリッシュ・ポプリン』といわれる独特の織り方の生地を使っています。
『アイリッシュ・ポプリン』は縦糸にシルク、横糸にウールを使って交互に織り合わせた生地で、シルクのみを使ったネクタイに比べ、落ち着いた自然な色とやわらかい手触りがあります。
ただ、シルクとウールは縮率が違いますので雨などの湿気によるヨレに注意が必要です。
・Stefano Ricci(ステファノ・リッチ)
ステファノ・リッチは伝統の職人芸を後世に残す為に結成された『クラシコ・イタリア』の初代会長。
『幻のネクタイ』といわれた『プリーツ・タイ』を20余年かけて研究し、機械化した人物で、ステファノ・リッチの『プリーツ・タイ』は『ネクタイをした芸術品』とまで評価されています。
『プリーツ・タイ』の最大の特徴は、立体感と動きによる変化で、プリーツのわずかなふくらみ残しつつ芯地を入れ合わせ縫うことは職人技ならではです。
※プリーツではない、普通のネクタイを仕立ててみたことがありますが、本当に高度な縫製技術を必要とします。
テーラー新屋は、2日間にかけて『よいネクタイの選び方』を書いてみました。
幅約8cm、長さ約140cmの決められた形のネクタイにも、様々な技術や歴史、マナーがあり、またそれを必要としている人がいます。
Cool Bizだからと手放すよりも、紳士の矜持として、やせ我慢だとしても身につけたら素敵だなと感じます。・・・いやっ、ホント暑いんですけどね!!
テーマ:男性ファッション全般 - ジャンル:ファッション・ブランド
2007.06.17 | Comments(0) | Trackback(0) | 服飾小物
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