【映画】『プラダを着た悪魔』 〜男性スーツとの違い〜
映画館へ1人で観にいった時、チケット売場で『2名様でよろいしでしょうか?』と言われることに、なんとなく納得のいかないダイスケです、こんばんは。
というわけで、映画『プラダを着た悪魔』を観にいってきました。
アン・ハサウェイ主演のこの映画はタイトルでもわかる通りファッション業界のストーリーで、テーラーにとっても大変興味深い内容でした。
内容は、まるで新たなファッションショーの一環なんじゃないかと思うほど綺麗な女優が本当に沢山のブランドを着用していました。
タイトルのプラダはもちろんのこと、シャネル、D&G、エルメス、フェラガモ…etc。衣装デザインはパトリシア・フィールドという方でアメリカのドラマ『セックス&ザ・シティー』の衣装も手掛けた有名なスタイリストみたいです。
修行中テーラーの観点からの映画の感想は、男性物と女性物のデザインに対する捉えかたの違いが随分顕著に表れていたなということでした。
女性の洋服のデザインの多さ、斬新さに惹かれたのと同時に、改めて男性の洋服を仕立てる難しさを再認識しました。
女性の洋服はバストやヒップなど丸みを帯びた部分に対しダーツや生地の切り返し、プリーツなどを使い、しかもそれをデザインとして取り入れることで、デザインの幅も広がり複雑なラインを形作ることができます。
一方男性のスーツはできる限り縫い目を目立たないようにするのが理想です。
基本的に裁断と生地のドレープでゆるやかな曲線を描き、バストやヒップはアイロンだけを使用して生地を湾曲させ体にフィットするように仕立て、ダーツはなるべく少なく目立たないように工夫されています。
まれに鳩胸の男性場合であっても、オーダーのスーツではラペル(襟)の裏の部分に『あごぐせ』といわれるダーツを取って処理することもありますが、それでも女性の洋服のようにデサインとして見せることはなく、ラペルの裏にひっそりと刻んであります。
シンプルなデザインというのは、穿った見方をすれば、過去のデザインを繰り返すだけで、デザインの幅が狭い、退屈なシルエットと捉えられてしまうかもしれません。
例えば、今回の映画のワンシーンで、ファッションディレクターを演じていたスタントリー・トゥッチが着用していた極端に大きくしたラペルが印象の黒とグレーの大柄のグレンチェックの3ピーススーツ。
ワイドラペルは30'sアメリカのズートスーツや、70’sイタリアのベリードラペルのスーツにも見ることができますが、劇中のスーツはゴージラインを高くすることで、上のそれらとは違うモダンな雰囲気になっています。
このように男性のファッションは大きな変化がおこることはありませんが、ミリ単位で変化し流行を作っていっています。
最後に、誤解があってはいけないので
今回は男性のスーツを仕立てることを職業としている者の視点で書かせていただきました。もちろん、何でも出来るにこしたことはないのだけど、男性物が、女性物が仕立てられるから技術が上などということはありませんので、あしからず。
テーラー新屋はその人の立場、雰囲気に合い、着心地のよいスーツを作っていければいいなと考えています。
テーマ:男性ファッション全般 - ジャンル:ファッション・ブランド
2006.12.05 | Comments(0) | Trackback(0) | 映画

