男のたしなみ服装術【テーラー新屋】 2007年09月
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【ズートスーツ】の着こなし方【ズート・スーツ】

9月22、23日に行われる”2007年秋・冬新柄展示会”にむけての準備が微妙に忙しいダイスケです、こんばんは。


忙しい時こそ別のことがしたくなるもので、ずっと観たかった映画『ズート・スーツ(Zoot Suit)』がようやく観られました。

この映画『ズートスーツ(Zoot Suit)』は1942年に実際に起こった”スリーピーラグーン事件”を基にしてつくられており、メキシコ系アメリカ人が身に覚えの無い殺人の濡れ衣を着せられてしまった物語です。

ミュージカル調に仕上がっているこの映画の特徴はやはり題名にもある”ズートスーツ”です。


そこで、今回は『ズートスーツの着こなし方』について書いてみようと思います。

海外ではズートスーツをデューク・エリントンや、ライオネル・ハンプトンロジャー・トラウトマンスヌープなどがカッコよく着こなしています。

日本でもハイドロを組んだ古いアメリカ製の車に乗っている人や、ジャズを演奏する方の一部が好んで着用しています。

しかし、それらを着た日本人の多くが完璧に着こなしている気がしなく、個人的にズートスーツが好きなこともあり残念でなりません。


なぜ完璧に着こなしている気がしないかというと

ズートスーツとは、1940年代前半の『ファド・ファッション』の一種で、戦争直前のアメリカにおける極端なシルエットのスーツとその着こなし方を特徴としています。

したがってズートスーツはたんにスーツのシルエットの流行を意味するのではなく、それをも含めた誇示的、誇張的な服装スタイル全般を意味する言葉だからです。


もう少し詳しく掘り下げてみると

最初のズートスーツは当時の記録類によれば、1939年2月ジョージア州はゲインズヴィルのテーラーで注文され、その注文者は当時地元のレストランで皿洗いをやっていた若い男であったことが知られています。

そして、その若い男が出来上がった背広を試着した際、店主はあまりの奇抜さに仰天し、記念にその姿を写真に撮らせてもらったとも伝えられています。

そうして間もなく、この大げさな服は『ズートスーツ』という名でニューヨークをはじめ全米各地に広がり始め、チカーノのユニホームになるまでの流行となったそうです。


ちなみに『ズートスーツ』という言葉自体は、アメリカの羅紗商にして、ジャズバンドのリーダーでもあったハルロド・G・フォックスという人物によって作られたものらしいです。


うんちくはここまでとして、ズートスーツの着こなし方の詳細を挙げてみます。

■生地
・このスーツに使われた生地の大半は、人目を惹く派手なストライプ(ラメ入りなど)や、変わった織り方のファンシーウーステッドなど
・色はブルー、緑、赤茶、紫味のグレー、そして白および黒などが好まれました

■ジャケット
・厚いパッドで固めた箱のような広い肩
・ウエストをしぼり、ひざまでも届きそうな長い上着丈
・肩から袖口にかけて先細りになっている長めの袖
・フレアーを持たせた裾
・幅広のラペル
・そして全体にゆとりのあるシルエット、などが特徴です

■ズボン
・ズボンには2つか3つの深いプリーツ(前タック)
・股上はサスペンダーで吊ると、ほとんど胸のあたりまでもとどきそうな深さのもの
・尻からひざにかけては十分にゆとりをもたせて裁断されており、そこから裾口にかけては極端な先細りになっている。いわゆるペグトップ型のスラックスです

■装身具
・ワイシャツはピンクや紫、薄緑や金茶などの色物が中心
・ワイシャツの袖は例外なくダブルカフスで、これに大振りのきらびやかなカフスボタンで飾る
・ネクタイも派手な配色によるプリント柄(とりわけ絵画調や幾何模様が多く)または、大きい蝶ネクタイ
・鍔(つば)の広いソフト帽やパナマ帽を極端に傾けてかぶる
・足元は白黒や白茶のコンビ靴に派手な色柄の靴下
・最後に仕上げとして、長いキーチェーンをベルト通しから環状にあしらうようにします

※映画『ズート・スーツ(Zoot Suit)』ではサスペンダーをした上に、さらに細めのベルトをしめていました。


ズートスーツはとても印象に残るスタイルで、1950年代前半のジャズメンスタイルや、また、1981年から翌年にかけての一時期、ロンドンを中心にしてリバイバルがありましたが、実は、オリジナルのズートスーツの流行は長くは続きませんでした。

というのも、1941年12月に戦争に突入したアメリカは、紳士服産業にも節約体制を行いました。そしてズートスーツはあまりにも生地をたっぷり使うことから、戦時製品管理局(The War Production Board)に「ズートスーツの生産を続けることは、戦争遂行への妨げになる」と槍玉にあげられたからです。


ズートスーツは数奇な運命で数年間しか流行しなかったにもかかわらず、後に何度もリバイバルされ現在も好んで着ている人もいる、メンズスーツの中で”流行からスタイルへ”と遂げた数少ないスタイルの1種だと思います。


冒頭でも書きましたが、9月22、23日と秋・冬物の新柄展示会が浜松市のアクトシティーであります。もし興味のある方がいましたら
http://www.tailor-shinya.com/mail.html
もしくは
info@tailor-shinya.com
までメールをいただければ、詳細をご連絡さしあげます。


浜松市のオーダースーツ【テーラー新屋】は多少値段が高くても、安っぽくない、ホンモノのズートスーツも仕立てていこうと思っています。

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テーマ:男性ファッション全般 - ジャンル:ファッション・ブランド

2007.09.15 | Comments(3) | Trackback(0) | スーツ・シャツ

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